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塗料のお話

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11.今後の木材用塗料について

11-1.塗料の水系化

11-2.溶剤型塗料のVOC削減


今後の塗料開発は、地球環境を配慮したものでなければなりません。環境問題に対する取組みは、地球規模で行われる時代です。塗料界ではアメリカやドイツな ど環境先進国が主体となって揮発性有機化合物(VOC)の規制が行われ、その輪は急速に拡がっています。これらの背景のもとに、木材用塗料の開発も下記のようなテーマをもって検討されており、今後はこれまで以上に推進されていくと予想されます。
・11-1 塗料の水系化
・11-2 溶剤系塗料のVOC削減
    11-2-1.現使用塗料のハイソリッド化
    11-2-2.UV硬化型塗料(無溶剤型)へのシフト
これらの項目について、以下で述べてみます。

11-1.塗料の水系化

塗装により発生する揮発性有機化合物(VOC)の処理が難しい、建築木部の現場塗装用塗料から水系化が進められ、成熟していきます。これにより、現場火災に対する安全性や人体に対する安全性などが改善されていくでしょう。
工場塗装用の開発は、性能維持の目的で、多液反応型やUV硬化型水系が中心となるでしょう。その際、塗装機・乾燥システム・廃水処理などと組合わせての開発が必要となります。
ただ、これらの開発は、容易ではありません。まず、VOCについて。塗料の水系化といっても、ゼロVOC塗料の開発は難易度が高い。塗料や塗膜に求められ る性能を保持するために、微量なVOCを含まざるをえない場合があるからです。次にコスト。特に、工場塗装においては塗料の水系化にともない、作業環境も 水系化に対応するための設備投資が必要となります。
しかし、これらの課題は近い将来のうちにクリアしていかなければならないモノといえます。

11-2.溶剤型塗料のVOC削減

11-2-1.現使用塗料のハイソリッド化

ポリウレタン樹脂塗料などの反応型塗料に対し、VOCの発生を少しでも削減することを目的として、塗料のハイソリッド化が考えられます。つまり、塗料中の 樹脂の配合を増やし、溶剤であるVOCの含有量を減らそうという試みです。ゆえに、この塗料開発の課題は適性粘度の維持になりますが、溶剤量が減ること で、塗装作業に適した粘度よりも、塗料が堅くなる傾向には抗えません。
実際、塗料のハイソリッド化は難しく、原料メーカーの協力を得ながら長年にわたり検討しているものの、未だ解決できない課題になっています。

11-2-2.UV硬化型塗料(無溶剤型)へのシフト

UV塗料のメリットとしては、

・無溶剤型化しやすい。
・紫外線照射により瞬間的に硬化するため、省スペース化ができる。
・高硬度から軟質塗膜まで、幅広い塗料設計ができる。

UV塗料は木工業界では比較的早期から実用化されています。現在も、硬化乾燥の速さは大量生産に優位にはたらくため、フローリング建材や合板塗装などに多 く使用されています。また、テーブルトップなど高硬度が必要な用途にもUVトップコートが採用されています。UV塗料を水系化、あるいは無溶剤系にするこ とで、一層の環境対応に努める方法もあります。
しかし、UV塗料には塗装や乾燥条件に様々な制約があり、最大の欠点は、被塗物の形状が紫外線照射可能な形状に限定させるため、複雑な形状の被塗物には塗 装ができないことです。つまり、複雑な形状は影になる部分が存在し、その部分には紫外線が適切に照射されず、部分的に硬化不良となってしまうのです。
また、すべての塗装工程が、塗装機や乾燥装置などと密接なセッティングを必要とするので、エンジニアリングを含んだ開発が必要となり、検討には長期間を要することや、機械設備に多大なコストがかかることなどが課題となります。

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