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塗料のお話

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8.各種塗装仕様

8-1.オープンポアー仕上げ

8-2.セミオープン仕上げ

8-3.鏡面仕上げ

8-4.オイルフィニッシュ

8-5.塗装仕様の凡例


木製品の塗装方法は、クレームになるような塗料の選択や塗装方法でなければ、「正解」は無数にあり、多くの人が様々な工夫を凝らして、それぞれの木材に適した美しい仕上げを施しています。以下にあげる塗装方法は、そのほんの一部で、基本的内容です。

8-1.オープンポアー仕上げ

オープンポアー塗装とは、木材の持つ優雅な美しさと木材特有の木目をそのまま活かした塗装仕上げのことです。この仕上げは、塗装工程が簡単なゆえに、素地調整の段階で70%〜80%仕上げた状態でなければ、効果は発揮できません。

※オープンポアーとは導管(孔=ポアー)が塗料で埋められていない(オープン)仕上げという意味

塗装ポイント

工程1 素地調整 シミ、キズ、接着剤のハミ出し、油汚れ、ケバ立ち等の点検を行う。
サンドペーパーとしてはNo.240〜No.320を用いる。
工程2 素地着色 着色は、素地と同系の色が良い。
工程3 下塗 被塗物の樹種により塗料を選定する。特にアクやヤニの強い材にはヤニ止めシ−ラ−が必要。
また、塗料粘度は低くし、充分な量を塗布し、素地に良く吸収させる。素地表面に厚い塗膜を付けないことが肝要である。
工程4 研磨 塗装が平滑で、導管も鋭角で均一に研磨。塗膜が薄いため、研ぎ出しに注意が必要。
サンドペーパーはNo.320〜No.400を用いる。
工程5 上塗 オイルフィニッシュをイメージさせるような極薄塗膜の仕上げとする。
塗料は、手触り感などの良いものを選定する。白木仕上げのときは、無黄変タイプの塗料を使用。

8-2.セミオープン仕上げ

セミオープン仕上げは、導管孔以外は平滑に仕上げ、導管を2分から8分程度塗料で埋める仕上げです。木材がもっている樹種特有の肌に、仕上げることができます。

塗装ポイント

工程1 素地調整 シミ、キズ、接着剤のハミ出し、油汚れ、ケバ立ち等の点検を行う。
サンドペーパーとしてはNo.150〜No.240を用いる。
工程2 素地着色 着色および目止着色は、素材とデザインにより異なるが、なるべく素材と同系が良い。
工程3 下塗 被塗物の樹種により塗料を選定し、アクやヤニの強い材にはヤニ止めシ−ラ−が必要である。
また、導管に素穴が残らないように塗装することが肝要である。
工程4 研磨 塗装が平滑になるよう、均一に当てること。サンドペーパーはNo.320〜No400を用いる。
工程5 塗膜着色 全体的な色のバランスに注目し、素地着色での欠点を補うと共に、色の深みを出す。
工程6 上塗 最終仕上げで重要なポイントを占めており、用途により、塗料選定する。(手触り感、擦傷性など)

8-3.鏡面仕上げ(クローズポアーフィニッシュ)

鏡面仕上げは、ミラー仕上げとも呼ばれる仕上げ方法です。素地表面に開いた導管をはじめ、全ての孔を目止剤や塗料でふさぎ、平滑でしかも厚い塗膜を形成させる光沢仕上げとなります。

塗装ポイント

工程1 素地調整 シミ、キズ、接着剤のハミ出し、油汚れ、ケバ立ち等の点検を行う。
サンドペーパーとしてはNo.150〜No.240を用いる。
工程2 素地着色
(目止着色)
素材全体の色の均一化を計るとともに導管を出来るかぎり完全に止める。
工程3 下塗 被塗物の樹種により塗料を選定するが、一般的にはウッドシーラ−またはヤニ止めシーラ−を使用した方が導管への浸透性、密着性が良く、効果が大きい。
工程4 中塗 サンデングシーラーの塗布によって目止めの補強を行い、木材の導管のシールを完全に行わなければならない。そのために、必要によっては工程4と5をくり返す場合もある。
工程5 研磨 塗面が平滑となるよう、均一に当てること。サンドペーパーは、No.320〜No.400を用いる。
工程6 塗膜着色 全体的な色のバランスに注目し、素地着色での欠点を補うと共に色の深みを出す。
工程7 上塗 上塗は鏡面になるに従って、ゴミ、艶ムラ、肌アレが目立つので、工程に合った条件設定が必要である。必要に応じてバフなどで磨き上げる。

8-4.オイルフィニッシュ(塗料浸透仕上げ)

着色オイルフィニッシュは、チークオイル(主成分はアマニ油)や同様の塗料を素地に深く浸透させ、塗膜を表面にまったく作らないか、または極薄い塗膜を作る仕上げです。木材が持っている美しさ、しっとりとした肌を表現するのに最も適した塗装といえる。注意点として、オイルを拭いた布は自然発火の恐れがあるため、使用後は直ちに焼却するか、廃棄するまで水につけておく必要があります。

塗装ポイント

工程1 素地調整 No.150〜No.240サンドペーパーで研磨する。
研ぎ足が残る時は、更にNo.320サンドペーパーにて研磨する。研磨粉は完全に取り除く。
工程2 オイル塗布 刷毛、またはスポンジなどで十分に塗る。
工程3 塗面研磨 No.320〜No.400耐水ペーパーでオイルごと研磨する。
工程4 拭取り 完全に拭き取るか、導管に充填する。
工程5 乾燥 常温で24時間以上放置する。
工程6 オイル塗布 刷毛、またはスポンジなどで塗る。
工程7 拭取り 塗布直後に余分なオイルを除き、1〜3時間後、しみ出したオイルを再度拭き取る。
工程8 乾燥 常温で24時間以上放置する。
工程9 仕上げ #000〜#0000スチールウールで磨き仕上げする。

8-5.塗装仕様の凡例

塗装仕様の凡例

  塗装の仕様 適する木材 仕様の解説
木材の色を基調
にした塗装
白木塗装 マツ、ナラ、シオジ、タモ、セン、ブナ 北欧で開発された塗装で、塗料による漏れ色を出さないで白木の色そのままの感じに仕上げる。
木地色塗装 セン、ナラ、チーク、ウォルナット、ローズウッド、紫たん、黒たん ナチュラルカラー仕上げともいわれ、透明塗料だけで仕上げる。この場合は塗料による漏れ色が出る。
一般の着色塗装 カバ、ナラ、ブナ、カツラ、サペリ 低廉の木材を高級材の色に着色するか、木材の色をさらに着色によって強調する。
アンティック塗装 ナラ、マホガニー、カバ、ブナ 古典家具を表現するため、彫刻の凹凸部分などに色の濃淡をつけ使い古した感じを表現するもの。あらかじめ傷や虫喰い跡をつけたり、汚れを演出する場合もある。
オイルフィニッシュ チーク、ウォルナット、ローズウッド デンマークで開発された塗装で、木材の中に油を浸透させ、表面に塗膜を形成させない仕上げ。
オープン
ポアー仕上げ
ナラ、セン、チーク、ウォルナット、ロ−ズウッド オイルフィニッシュに似せたポリウレタンの薄塗り仕上げ。
セミオープン
ポアー仕上げ
カバ、ナラ、セン、アッシュ 導管を20〜80%程度、塗料で埋められた仕上げ。「一般の着色塗装」の多くは、セミオープン仕上げとなっている。
鏡面仕上げ カバ、メープル、黒たん ミラー仕上げとも呼ばれる仕上げ。
木材表面すべての孔を塗料で埋められた、平滑で厚膜な光沢仕上げ。バフなどで磨き上げられた仕上げも多い。
ふきうるし様塗装 ケヤキ、ニレ、セン ふきうるし仕上げを現代化したもので、ワイピングステインによって木目を引き立たせる。
ヤシャトノコ
仕上げ
日本の桐だんすの伝統的な仕上げのひとつ。浮造りされた桐を用いる。ヤシャの実から抽出したタンニンとトノ粉の混合物に鉄イオン水を調合したものを塗装して拭き上げて仕上げる。
色彩を主体
にした塗装
カラフルな
染色塗装
マツ、ブナ、シナ、ナラ、セン レッド、グリーン、ブルーなど彩度の高い色で、しかも木理が透けて見える塗装。
半透明塗装 ホワイトアッシュ、ナラ、セン、シオジ、タモ、ニレ 不透明顔料を使用した、目止と不透明エナメルをクリヤーで薄めたもので半透明に仕上げる。
エナメルオープン
ポアー塗装
トネリコ、セン、シオジ、ニレ 日本の目はじき塗りを現代化したもので、不透明色にして木目のステクチャーを生かす仕上げ。
エナメル塗装 カツラ、シナ、ブナ、パーティクルボード 素地隠ぺいし、不透明色の平滑面仕上げ。
変り塗り塗装 マツ、スギ、ツガ、カツラ、パーティクルボード 塗装で大理石模様や皮革や布地などの感じを表現したり、多彩な色模様で塗面を複雑化した塗装。それぞれ独特な技法を用いる。

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