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塗料のお話

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7.塗装工程

7-1.素地の検査及び前処理

7-2.素地研磨

7-3.漂白

7-4.着色

7-5.目止

7-6.捨塗

7-7.下塗

7-8.中塗

7-9.上塗

7-10.研磨

7-11.ポリッシング

7-12.乾燥


7-1.素地の検査及び前処理

塗装に入る前に素地を充分に検査し、適宜それそれの処置を行う必要があります。
それは、素地が良いかどうかで、塗装の良否が決定してしまうからです。

素材の欠陥と処置法

検査項目 塗装仕様を考慮した素材の分類 塗装のポイント
1.傷 刃物のきず、治具のあと、打ちきず、すりきず 温湿布で膨潤、水引き研磨、グルーサイジング、etc
2.平担度 かんなまくら、さか目、けば立ち 素地研磨、水引き研磨、グルーサイジング、etc
3.よごれ 接着剤のしみ出し、機械油、手あか、その他のよごれ 研磨、揮発油で拭き取り、etc
4.その他 虫穴、かけ、接合部のすきま、突板の浮き 埋め木(こくそ)、接着剤、パテ埋め、etc

7-2.素地研磨

◎研磨の方向は必ず木理と平行に行って下さい。研磨を平行にせず着色目止等を行った場合、色ムラを生ずる事があります。
研磨後は、エアーブローか刷毛等で道管に入った研磨粉を取り除きます。

◎0.5mm以上の突板を貼った素地の場合は、No.150サンドペーパーで仕上げ研磨を行って下さい。

◎0.2mm〜0.3mm程度の薄い突板を貼った素地の場合は、往々にして台板まで剥ぎ出してしまう事があるので、
No.150〜No.240サンドペーパーで研磨するのが適当でしょう。

◎単材(ムク材)を使用した素地の場合は、逆目や鉋(かんな)の目を取り、完全に平坦面にするために下研磨と上研磨を行うこともあります。
下研磨はNo.50〜No.100サンドペーパー、仕上げ研磨はNo.150サンドペーパーが適しています。

7-3.漂白

素地によっては漂白しなければならない場合があります。通称源平と世ばれてる赤太、白太の混ざった材質は、漂白により材の色を統一した方が良いでしょう。
このような場合、一般に市販の過酸化水素系漂白剤が使用されます。漂白後は充分に水洗いしないと、漂白剤中のアルカリや過酸化水素が残って塗装障害を起こす事があるので注意して下さい。

また 、木材にはその他に種々の汚染や変色があります。汚染や変色の原因によって、その除去法が異なるので、その概略を以下に示します。

汚染・変色の除去法

汚染・変色の種類 状態 原因 除去法
1.酸汚染 淡赤色になる。 1.シュウ酸処理後の水洗い不足
2.尿素樹脂系などの酸性接着剤の使用
3.酸性塗料の使用
1.H2O2 5〜10%水溶液を苛性ソーダ水溶液又はアンモニア水などを加えてPHを7〜8調整
2.亜鉛素酸ソーダ2%以下の水溶液
3.水素化ホウ酸ソーダ1%水溶液
2.アルカリ汚染 樹種によって変わるが、主に暗褐色から黒色になる。 1.ガゼインクルーや大豆グルーなどのアルカリ系接着剤の使用
2.プラスターやモルタルの付着
3.アンモニアガス
4.消石灰の付着
1.シュウ酸1%水溶液
2.H2O2 10%以下の水溶液
3.鉄汚染 黒色や黒褐色になる。 1.刃物のこぼれ
2.鉄分を含んだ泥土などの接触
1.シュウ酸5%以下水溶液で処理後、リン酸ソーダ10%水溶液
2.次亜リン酸、次亜リン酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ水溶液
4.青変菌汚染 青変している。 1.青変菌 1.次亜塩素酸ソーダ、次亜塩素酸カルシウム水溶液をPH12前後に調整
2.二塩素化イソシアヌル酸ソーダ水溶液に炭酸カルシウムを加えPH10に調整
5.光変色 アメ色から暗褐色になるものが多い。濃色材には退色するものもある。 1.紫外線による木材成分の変質 1.研磨
2.H2O2 処理
3.水素化ホウ酸ソーダ処理予防方法
4.セミカルバジド処理
5.PEG、PEGMA処理

7-4.着色

着色木材の色をさらに美しく色する為に、素材に着色する素地着色の手法が多く用いられます。着色の方法としては、他に塗料中に着色剤を混入して塗装する塗膜着色の方法もある。
素地着色は、一般には顔料系や染料系の着色剤を用いて塗布(着色)したのち、ウエスなので余分な着色剤を拭きとります。そうすることで、材質感を失わず、美しく仕上げることができます。
塗膜着色は、塗膜の中間層に於いて着色する方法で、素地着色の補正に使用される。この場合はスプレー塗装が用いられる。塗膜の中間で着色するので素地のムラ等をかくすのは便利であるが、あまり濃色に塗装すると素材の持味を殺す事になる。

7-5.目止

目止は木材の導管を埋めて平滑な面を作る事。上塗塗料の吸い込みを防止する事。木理の美しさを強調する意味で、特に導管部分に着色を施す目的等で使用されます。
シンナーで希釈し、素材に刷毛塗りした後、ウエスなどで木理に直角または円形を描いて充分に擦り込みます。この直後、木目以外に付着している余分な目止剤をウエスで拭き取ります。
乾燥条件は目止剤の種類によって違います。留意して下さい。
また、乾燥後に、No.150〜No.240サンドペーパーで、軽く空研ぎをすると透明感や塗膜の密着性が改善されます。

7-6.捨塗

捨塗素材のケバを起こし、ケバ取り研磨をするために、充分に希釈した塗料(ウッドシーラ−を希釈)で捨塗りを行う場合があります。
これと同様な目的で水引き研磨やグルーサイジングを行う事もあります。

7-7.下塗

素材に充分浸透させ、上塗りの塗料の吸い込みを防止すること。素材と塗膜の密着性を確保すること。素材の耐久性を向上させること。
素地着色の上塗り塗料中へのニジミ出しを防止することなどの意味で塗装されます。

7-8.中塗

木製品塗装の場合は、主として透明塗装が多く、中塗りは一般にはサンデングシーラーが使用されます。しかし、タンス、鏡台、サイドボード等の高級家具に は、ワックスタイプポリエステル樹脂や研磨しにくい加飾分等にはノンワックスタイプポリエステル樹脂が使用されています。
エナメル仕上の場合は、サフェーサーが中塗りとして使用されています。
中塗りの一般的な注意事項としては、極端な厚塗りは避けるべきで、この場合はピンホールや後日塗装ワレを生ずる事があります。(ポリエステルの場合は、一般塗装の概念より、かなり厚塗りになります。)

7-9.上塗

上塗塗装における最終工程であり、この塗料及び塗装の良否によって品質が決定するので、特に重要な工程といえます。塗料の選定は、その仕上げ方法によって違って来ますが鏡面仕上げにはクリヤー、艶消し仕上げにはフラットクリヤー、エナメル仕上げにはエナメルを使用します。
上塗りの場合は、特にゴミの付着が問題になるので被塗物のホコリをよく払い、作業環境も出来るだけのホコリの立たないように散水し、塗料も吉野紙でろ過する事などの配慮が望ましい。

7-10.研磨

塗膜の研磨は捨て塗り、目止、下塗り、上塗り等の工程に附随してくる作業でそれぞれの工程によってケバ取り、平滑面を得るなど異なった目的を持っている。
特に多液混合(硬化)型塗料の場合は塗膜間の密着力改善の意味があります。
また、研磨の原則としては、塗膜が充分乾燥してから木理に平行に研いでください。

目止の研磨………No.150〜No.240サンドペーパー
下塗りの研磨……No.150〜No.240サンドペーパー
中塗りの研磨……No.240〜No.320サンドペーパー
(ポリエステルの場合)……No.240〜No.320〜No.400サンドペーパー
上塗りの研磨……No.400〜No600サンドペーパー (ポリッシングの前処理としての研磨)

7-11.ポリッシング

鏡面仕上げをする場合は、上塗り塗装の研磨後にポリシングの工程を行います。
ラピングコンパウンド、棒状ワックス(メンツエルナワックス)、液状ワックスなどの艶出剤を使用してバフ磨きを行い、艶を出し、
鏡面に仕上げます。

7-12.乾燥

乾燥塗膜の乾燥方法として、一般塗料の場合は常温乾燥と強制乾燥の二通りの方法があります。常温乾燥の場合は、気温や湿度の影響が大きく、乾燥時間もそれらの 条件に合わせて行わなければなりません。強制乾燥は特に量産方式の場合に採用され、ある程度乾燥条件が一定化されるので品質のムラが少ないこと、乾燥時間 が短縮されるので仕掛り品が少なくなること、作業の流れが規定されるので工程管理が容易であるなどが利点といえます。
強制乾燥の方法としては、熱風乾燥、赤外線乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等があるが、それぞれの乾燥方法によって装置が違い、被塗物の形状等も限定されます。
また、専用の塗料を使用することによって紫外線(UV)乾燥、電子線(EB)乾燥なども行われます。

木製塗装品における塗装乾燥法の種類

乾燥法 乾燥機構 設備費 ランニングコスト 乾燥
効率
適用被塗物 適用塗料
常温乾燥 自然放置 なし なし すべてのもの 常乾型塗料全般
熱風乾燥 熱風加熱 適用範囲広い 常乾型塗料全般
赤外線乾燥 赤外線による照射加熱 陰になる部分は無理 常乾型塗料全般
遠赤外線(IRL)乾燥 遠赤外線による照射加熱 陰になる部分は無理 常乾型塗料全般
マイクロ波乾燥 マイクロ波による分子加熱 適用範囲広い 常乾型塗料全般
紫外線(UV)乾燥 感光剤によるラジカル重合促進 非常に大 陰になる部分は無理 紫外線硬化型塗料
電子線(EB)乾燥 ラジカル重合促進 非常に大 非常に大 陰になる部分は無理 電子線硬化型塗料

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