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塗料のお話

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1.木材の基礎知識

1-1.木材の分類

1-2.木材の構造
(1)構成元素・分子
(2)辺材と心材
(3)年輪(早材と晩材)

1-3.木材の含水率

1-4.木材の収縮と膨潤

1-5.木材のPH

1-6.塗装仕様を考慮した素材の分類


1-1.木材の分類

木材の分類 木製品に使用される樹脂は非常に多くありますが、その木材の特長を十分に把握して塗装設計しなければなりません。
木材は、単材として使用される場合と突板として合板等に張り付けられて使用される場合があります。
木材を分類する場合に、塗装に関係の深い分類法として以下に示す様なものがあります。

┌ 針葉樹 ─ カラマツ、スギ、ヒノキ、ヒバ、カヤ、モミ、スプルース、パイン
│      

└ 広葉樹 ┬ 有導管材 ┬ 環孔材  ミズナラ、ケヤキ、セン、ハルニレ、キリ、アッシュ
      │      │ 
      │      ├ 散孔材  マカンバ、ミズメ、チーク、マホガニー、カリン、
      │      │      シタン、コクタン、ブナ、シナ、カツラ、メープル、
      │      │      タガヤサン
      │      │
      │      ├ 幅射孔材 ヒシ、アカシデ
      │      │
      │      └ 紋様材  ヒイラギ、モクセイ
      │
      └ 無導管材

針葉樹には導管がなく成長が早いため、一般に比重が軽く柔らかい。そのため、主として建築用材に用いられてきたが、最近では広葉樹の品薄、高騰などの理由で、家具用としても使用されるようになっています。
広葉樹はほとんどのモノに導管があり、その導管の様相は上記に示したように様々である。また、広葉樹は硬木(堅木)とも呼ばれ、その質的な硬さのために、主として家具用材として用いられます。

1-2.木材の構造

木材の構造(1)構成元素・分子
木材は炭酸ガス、水に由来する炭素、水素、酸素原子から成立ちC4.17H6O2.75で表されます。これらの元素がセルロース分子、ヘミセルロース、リグニンを構成し、それらの分子が集まって精巧な細胞構造体を作っています。
セルロースは木材の主成分であり、針葉樹では木材質の23〜33%、広葉樹では16〜25%を占め、細胞間の主要物質です。ヘミセルロースは、数種類の糖物質から出来ており、広葉樹での含有量は20〜30%、針葉樹では15〜20%です。


(2)辺材と心材
樹幹の横断面で、外周部にあって色の薄い部分が辺材であり、その内側の色の濃い部分が心材です。辺材は根から吸い上げた水を葉に送るポンプとパイプの役目を果たしていますが、やがて水を送る機樹幹の横断面能を失って、樹を支えるだけの心材に変化します。心材化の過程で、細胞壁に微生物や虫に抵抗出来るような化学物質が付着します。したがって、心材は辺材に比べると耐朽性が高くなります。

(3)年輪(早材と晩材)
樹が太くなるのは分裂組織の活動の結果ですが、分裂活動は一年中行られているわけではなく、たとえば日本では、春から秋にかけての比較的短い時期に限られています。分裂の周期の初期に作り出される材と後期に作り出される材とでは、細胞の形や大きさが異なります。そこで初期に出来た材を早材又は春材、後期に出来た材を晩材または夏材と呼んで区別します。
針葉樹では早材の細胞の形が大きく、壁の厚さが薄いので色が淡く、晩材は細胞壁が厚いため濃くなります。しかし、色の濃淡は壁の色によるものではなく、厚さによるものです。広葉樹ではケヤキやミズナラのように、早材部に極めて大きい導管が出現するグループがあります。ホウノキやカツラ、カバノキなどは導管の大きさや分布に差がないので、早材と晩材の区別はなく、したがって年輪の境界も分かりにくいものになります。

1-3.木材の含水率

木材の含水率 木材は樹体中で水分の通導組織であったため、大量の水を保持する事が出来ます。木材中の水は、存在形態によって自由水と結合水に大別されます。
自由水は細胞内腔や細胞壁中の間隙にある水で、材の寸法や強さなどの性質や強さなどの性質を変えます。生材を乾燥すると、先ず自由水が失われます。 木材は伐採後、加工、乾燥され水分を失います。その時々の状態によって以下のように呼び分けられます。

(1) 生 材 伐採後、乾燥されていない状態の木材。
(2)気 乾 材 生材を大気中に放置すると、次第に水分を失って乾燥し、やがて大気の温湿度に応じた一定の含水率になります。その段階の木材を指します。 気乾材の含水率は樹種によらず、ほぼ一定ですが、地域、季節によって変動します。一般にその値は11〜17%で平均15%です。
(3)全 乾 材 換気の良い乾燥炉の中で、温度100〜105℃で乾燥し、重さに変化がなくなった状態。含水率0%の木材。
(4)繊維飽和点 生材を乾燥すると、先ず自由水が失われ、次いで結合水が失われます。 その過程で自由水を全く含まず、最大限の結合水を含む状態があり、それを呼びます。 樹種によらず、約30%です。

1-4.木材の収縮と膨潤

木材は繊維飽和点以下の範囲で、含水率の変化によって膨潤、収縮を繰返します。これによって細胞腔の体積は変化せずに、細胞壁の体積が変わるので寸法変化が起こります。
この膨潤収縮は3次元的に異方性を示し、板目が最も大きく、柾目がこれに続き、縦方向(繊維方向)が最も小さく、変化比はおよそ以下の様になります。
板目:柾目:縦=10:5〜6:1
この膨潤収縮異方性を上手に使って、寸法安定性を与えたのが合板です。動きの少ない繊維方向と大きく動く板目を、クロス貼りによって寸法変化を減少させています。
木材の収縮率は比重に比例します。したがって未利用材などの未知の材でも、比重を計測ればおおよその見当をつけることができます。

1-5.木材のPH

ほとんどの木材は弱酸性にあり、PH4〜7の範囲にあります。PHの大小は各種汚染と関係が深く、価が小さい機種ほど金属汚染が生じやすい傾向です。

1-6.塗装仕様を考慮した素材の分類

  塗装仕様を考慮した素材の分類 塗装のポイント
1 サペリ、サクラ柾目、ブビンガ、などヤニ分の少ない散孔材。 主として染料着色剤の素地着色で希望の色調を得ている。
2 カバ板目、ペンシル、マコーレー、など導管の中位な散孔材。 主としてワイピング型着色剤*で拭取りによって導管を強調するが、やや導管が浅いのでその充填性よりも着色効果が重視される。
3 ナラ、ケヤキ、セン、ニレ、カリンなど導管が比較的大きな材。 主としてワイピング型着色剤*で拭取りによって導管を強調している。ただしこれらの材は導管がかなり深いので導管部分の充填性にも重視しなければならない。
4 シタン、コクタン、モアビなど素地密着の悪い材。 素材が非常に堅いか、または特殊な成分を含んでいて一般のシーラーでは密着性が確保できないため、密着性の良いシーラーを使用する。
5 ローズウッド、パープルウッドなどヤニ分の強い材。 不飽和ポリエステルの硬化反応を阻害する成分を含んでるので、その成分を止めるためヤニ止めシーラーを使用する。
6 アガチス、ブナなど主として面縁材、框材として使用されるもので比較的導管の小さな材。 主として着色効果を重視したワイピング型着色剤*を使用する。
7 ナトー、ペルポック、ラミン、ラワン、マトアなど主として面縁材、框材として使用されるもので比較的導管の大きな材。 主として目詰まり効果を着を重視したワイピング型着色剤*を使用する。

*<ワイピング型着色剤>
ワイピングベースと着色剤の混合剤を意味します。目的に応じた粘度や色彩にその都度調合します。木材塗装に多用される着色方法で木地に直接着色をする「素地着色法」があります。これはハケなどを使い、被塗物に着色剤を塗布した後にウェスなど綿布ですり込むようにして余分な着色剤を拭き取る方法です。このとき用いる着色剤を称してワイピング型着色剤としているのであって、あらかじめこのような名称の着色剤が用意されているわけではありません。

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